舟越桂さんの作品は二○一五年の館林美術館での展覧会で初めて目にしました。

ほとんど予備知識を持たないで会場に入ると、圧倒的に艶かしいのと全く生々しい感触のなさが共存した彫像に引き込まれてしまって少しクラクラするくらい心を捉えられたので、とにかく驚きました。 ゆったりと観られる環境で大変に充実した内容をじっくりと堪能できたのを覚えています。  

今回、松濤美術館で展覧会があるとのことで出かけてみて、五年前に好きになった作品を久しぶりに目にするとその変わらない美しさを懐かしく思うのと同時に、自分の目線の変化を知ったのでした。肩の傾斜や首の角度などこちらから見た感覚と、作品からの目線を意識するなど、前回とは向いている意識が異なることがあってとても有意義で興味深い時間となりました。